祈鳴/あらい
すべては、かつてない
トビラへは いかない。
自らの手で知らない儘に
しじまで。ぐしゃぐしゃで、
とんでもなく まっすぐだ。
金糸のすきまから
さかしまに喚く夜霧は
しずかに
しづかに
生ぬるく蛍光する律が
陽だまりへ引きずって
壊れてたんだろ
硝子の鉛芯が香った気がした
みみずくの血を喰み砕かれ
たびに なげだされる
ここは衰弱――
"誰かのはなし"の熱をくぐもらせた指先で
泥を濡らしていた。線に
かじかんだ影の、そのころ
爪痕を残すような、ノイズの
かげろうの胸に、追い越してく。
熱帯魚はもたもた ふるえながら
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