あいつとわたし その2/佐々宝砂
 
ろぐらい薄闇にうずくまって
手を……いや
触手だかなんだか曰く言い難いものを
さしのべる
わたしはそれを握りしめる
握りしめつつ
引っ張られるもんかとがんばる

がんばるのも疲れたが
あいつはなにしろ生物ではないから
疲れを知らない
そのへんがむかつく
はなっから
こっちには分がないじゃないか

光にこそいろいろな色があるのだと
わたしに教えたのは誰だったか
ああいったい誰だったのか
それが思い出せたら
こちらにも
分があるような気がするのに
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