COLORs/たもつ
 

比喩などではなく
専門の学校に入り
必要な課程をすべて履修して
風になった
どうして風になりたいのか
聞いたことがある
わからない、と君は答えた
どうして風になったのか
聞いたことがある
答えはもう言葉ではなかった
君が僕のノートを捲る
書いたものをすべて消していく
君の横顔を描いていたはずなのに
僕の輪郭も思いも
一緒にさらって行った
君は透明になって
他の風と見分けることさえ
できなくなった

 
○COLORs

初めに色があった
二つ並んだ形だった
陽だまりの跡と
体温の質感
掌のようなところで
それはさっきまで
確かに色づいていた


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