いのちの朝顔/2025.7.5/凍湖
 
こどものころ
朝顔の種をもらった
それは幼くして亡くなった子の
短い間育ててた朝顔がつけた種の系譜で
いのちの大切さが書かれた
小さな紙が同封されていたように思う

朝顔は朝だけ咲く花
昼にはしぼんでいる
いわば人生の朝だけしか知らないまま
天に昇ってしまった子
あなたが種まで育てるはずだった花を
たくさんの子が育ててるのって
どう思う?

今日いっせいに世界が終わるはずだったのに
全然終わらなかったな
ああ、でも夕方のニュースで
海で中学生が波にさらわれてしまったと言っていた
その子の世界は滅亡して
わたしの世界は続いてる

そのことをうまく受け止められないまま
もうすぐ朝顔が咲く
あくる朝わたしはそれを見て
通勤するのだろう
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