コールタール/りつ
お父さんは「泣くな!」と言った
それから泣かなくなった
お父さんは「意気地なし!」と言った
怖いと言わなくなった
殺した感情
言えずに飲み込んだことば
お母さんの声は神様だった
逆らったことなど1度もない
従うことが当たり前だった
強制的に割りきり
言わなかった不平不満鬱憤
そんなものが自分にあるとは
認めたくなかった
美しいこころの私で居たかった
醜いもの汚いものは
澱として沈澱し
上澄みだけを掬ってるうち
澱は形を喪い
もはやヘドロを通り越し
コールタールのようにベトベト
(寧ろヘドロが良かったか?)
どっちも同じだ
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