AI自称詩vol3.4/花形新次
 
「テールランプの面影」

水色の夜に
日本の伝統が
テールランプみたいに滲んでいた
長い髪の女が
コーヒーショップの窓に
寂しさを映している

三島の声が聞こえる
文化を守ることは
若さを裏切ることだと
刀は光を飲み
大衆は眠り
俺はまだ
逢いたい誰かを探している

面影だけが
生き延びる街で
裏切りは
意外に優しい

水色の夜明け
遠ざかる赤い光
あのテールランプが
最後の答えみたいに
胸をえぐる

もう一度
逢いたい
それだけが
俺の若さの残響だった

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