AI自称詩vol-0.5/花形新次
自称詩人が過ぎてしまったのは確かです
誰も自称詩人に関心などないし
自称詩人がどこで野垂れ死のうと
どうでもいいのです
従って自称詩人殲滅を目論んでいる
私の活動もとうのむかしに過ぎてしまったのです
自称詩人が人っ子一人いなくなることを
目指していました
それが世の中の為だと思っていたからですが
でもそんなのは無意味です
だってAIに頼めば自称詩人並みの自称詩は
2秒で出来てしまうからです
「真夏のカナリア」
自称詩人が
コンビニの軒先で
六本木の太陽を呑んでいる
死刑囚の夢を見た夜
金髪の女が
せせらぎのように笑った
週末はいつも
崩壊と脱獄のあいだにある
手首に残る
いくつかの事実
それを殲滅するため
ビールと煙草と
カナリアを飼った
真夏は
ぜんぶを焼く
ビルも記憶も
名前も
けれど
日曜の朝には
まだ少し
誰かの声が
この胸の奥で
溶け残っている
それが
ほんとうに
生きていた証かどうか
もうどうでもいい
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