嘘みたいな夜/秋葉竹
 
あかりを頼りに歩く
白い砂ばかりをふみしめつづけながら


あたしは
勇気よりも偉大な心を知らないかな。


泣いてたのはじつはあたしのほう、

リストカットをしたこともないのが
恥ずかしいと泣く彼女は
下を向いて舌を出して世界を小馬鹿にしてる
その気持ちがあまりに痛くて
そのみっともなさがあたしにとって痛くて
嘘みたいにあたしの心が
痛くて辛くて
苦しくて


そんな
嘘みたいな涙って、ホントにあるんだな。

彼女の名前を口の中で呟きながら
嘘泣きしている彼女をみおろしながら
泣いていたのは
じつはあたしのほうだったって驚いた
涙の嘘みたいな
夜だった







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