硝子の海 がらすのうみ/武下愛
一粒が連ね重なり
完成はいまだになく
溺れる事も無く
人肌の熱を持ち
様々な色を放つ
色彩の豊かさには溺れ酔う
くれるのがこわいくらいに
愛しみに沈んでいくのに
淡い色で輝きはまして
心拍数の数だけ増えていく一粒
嵐の日もあっただろう
明けない夜もあっただろう
苦しみぬいた時も流れていただろう
だのに今はおだやかさだけのこして
波紋すらなく
しなやかさを持った
丸みを帯びた粒で
満たされている、よ。
ぽつぽつぽとりぽとりとかさははまして
りゅうどうしてとどまらない
こきゅうができるのだもの
さんそでしかないのかも
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)