夢をみた/秋葉竹
今回の旅は残念ながらキャンセルしよう
かすかに春の日の香りの漂う
やさしい眩しさの世界への旅
なにが起こるかわからないから浅く眠る
かすかに揺れた涙の手前の悲しみは
浅瀬に流れる透明な水
流れるにまかせて
流れるにまかせて
流れる
流れる
夢をみた
むかしみた魚がひらひらと青空を泳ぐ夢
彼女と並んで寝ながらみた夢
青空にさざなみが走り
天使の影が楽しげに飛びまわる
白い舟には誰も乗っていないから
彼女に一緒に乗りたいねって
声をかける
しずかに微笑みながら
(わたしは、怖いかな)
とか空気を読めないふりして
しっかりとノーって云うものだから
すこし残念だけれど
今回の旅は残念ながらキャンセルしよう
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