夏至が過ぎたから/山人
スーパーにスイカがたちならび、買い物客は上腕をむき出しにしている
夏至が過ぎた日の日中は、もう夏のような暑さが
巨大円盤となって上空を覆っている
希望というのは、日にあたった蛞蝓のように動かない
支持政党党首は、壊れた未来のロボットのように同じ文言を繰り返している
一人で立ち上げた、と繰り返し、時間の海に溺死寸前だ
エゾハルゼミはまだ鳴いていて、やがて蜩が本格的な夏を連れてくるだろう
詩など、もうどこにも無くて、使い古しのメタファが引き出しの中で眠っている
老害の吐息が山道に塗される
まだ初冬は遠い
戻る 編 削 Point(6)