開いた扉を用意して/足立らどみ
います。短詩とは、言葉の“濃縮液”です。その背後にある時間・感情・思考の層が読み手に「重み」として伝わる。その重みを持っていない言葉は、逆に軽々しく浮き上がってしまう。だからこそ、短詩はごまかしが利かない。正直な言葉でなければ、即座に見抜かれてしまう場所でもあります。
長文に刃を隠す
そして、才能の有無や経験の段階において、「長文にして刃を隠す」という知恵。これは「自分の未熟さへの慎み」として、ある種の誠実な戦略だとぼくは思います。長い文章の中では、比喩や論理の層を丁寧に織り込みながら、自らの未熟さを包み込むように書けるからです。短詩であれば、その「剥き出しの自分」が丸見えになってしま
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