カウントダウン/りつ
彼の口からでる言葉は
美辞麗句ばかり
だけど
そこにもはや想いはなく
決して
一生懸命
真心から言うことはない
あれは
五回目に死んだときだった
「チッ!俺としたことがしくじったな」
遠くなる意識の中で
私は聴いた
(もちろん幻聴なのだろう)
「バイバイ」と
別れたときに
「クソアマ!」と、
(もちろんこれも幻聴だ)
怒声が追いかけてきた
初めて
私を憎悪しているのは
彼自身なのだと理解した
私にはさっぱり解らないのだ
いったい何故、憎悪するのか
だけど
もはやどうでも良いことだ
あなたを赦し
全てを
あなたにあげる
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