咽ぶ夢/秋葉竹
 

 

聴くに耐えない
長い夢をみた

それは夜に
美しい魂が泣いて
罪を懺悔している夢だ

それは夜に
美しい魂が泣いて
生きているその身を愁う夢の中の夢だ

そのあとまた

聴くに耐えない
長い夢をみた

水色の香りがするふたりの部屋に
開け放った窓から夜風が吹き
吹き荒ぶ草の香りを乗せて

僕たちのなにかを
殺す夢だ
真実のような
愛情のような
切なさのような
快感のようや

磨いた爪で引っ掻かれるような
まるで殺意のような

死んだっていいと
君がちいさく云ったとき

君の静かな美しい魂は
こらえきれずに
涙をひと粒
瞳に浮かべた


あゝ、
なにに祈ればよいのかと
僕はそのとき天を仰いで
信じる神とてない人の夜で
ただ君に
清しい君に祈るのは

紫陽花の
夢に溺れて


紫陽花の
香りに咽いで


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