偽善者たちへ/aristotles200
記憶の階段
過去が積み重なっている
そして、今も、少しづつ過去を重ねている
私の長所は、すぐに忘れること
嫌なこと、不快なこと、不愉快なこと
私には目的がある、為せばならぬことがある
家族を、幸せにすること
つまらない、くだらないことに興味はない
記憶の階段を、一歩踏む
ソ連、シベリア、捕虜収容所
一兵卒で徴兵された、祖父の記憶
三年、生きるか死ぬかの地獄を経験し
帰ってきた、帰ってこれた、祖国に
別人のように痩せこけた
終生、戦争のことは語らなかった
記憶の階段を、もう一歩踏む
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