六月キョウメイ/
奥畑 梨奈枝
気が狂ったか……
と思ったら
全てが
おかしかった
詩の中で
冬の蝉が死んでいた
史料館に
古銭、十銭が展示され
エッセイの中に
ユングの影が
夢か記憶か
観測すれば
消えゆく何か
思い返せば
現る何か
山の財布の十銭硬貨と、
ひっくり返った蝉の彫刻。
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