解き放たれる刻/ひだかたけし
 
とほい
自らが自らに
とほくとほくなり
いく折 、

ひとり人の抱え持つ
夜ごと寄り添う安らぎの
深く刻み込まれた
星々からの記憶の許、

 いよいよ不断に
  別れ離たれいく
  無数の他者からなる
 私なるもの

守護されつ 、

自らの濁りを
振り落とし
吐き出す進化の
過程から
新た織り込まれた
無数無限の自らを
自らの意志で辿りながら

ゆらゆらゆらら
ゆらゆらら

記憶の奥処の陽炎の
火柱立たせ 安らいで 、

冷え切るこの肉身に熱施す
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