もしもあの時・・とおもうとき/けいこ
経験の少ない若い時は、もしもあの時・・なんてことは思わなかったが、少しオトナの仲間入りをするようになって、「もしもあの時・・していたら」と、ちらっと思うことが度々あった。
その前と後とのギャップがあるときや、絶対にありえないことを空想して自分を慰めるときだ。
ど田舎から大都会、兵庫県の浜甲子園に転校したときのこと。
母は半年ほど先に行っていて、四年生になった新学期に私は叔母に連れられて初めて大きな船に乗り浜甲子園というところに着いた。
当時は戦争の足跡が見え隠れしていたころだったが、浜甲子園は別荘地だったので隣には芝生とバルコニーがある白い洋館に二人の白人の男性が住んでいた。ときどき子
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