貝殻ぶるうす/洗貝新
おじさん拾ってきたよ!
と子供が浅蜊の殻を見せたがるのだが、
海〜
装飾に向く貝殻がなくなってしまった
あらわれに浚われやってくるのは
乾燥し砕けたパイロン
じゃらん、じゃらんと小石が躍る
歩線のない砂地
石に埋もれる
貝殻の化石を見過ごしてしまった
鬱鷺
車道を挟んだ崖には大きな穴があり
シャベルを抱えて人が下りていく
金属の砂を見つける果てに
凍りつく色だけが
風に留まり
子供たちが風化していく 季節
擦れた職人の小屋から聞こえてくる
じゃらじゃら と鳴る貝殻の音
戻る 編 削 Point(6)