ペイズリー/片野晃司
こんなふうに、結局のところわたしたち似たもの同士だし。こんなふうに、流れ、うずまき、ぶつかりながらまじりあい、あわだつ分子のひとつひとつだし。
ペイズリー柄の緑色の安いバンダナを買いたかっただけなのに。ショッピングモールはぐるぐると曲線を描いてうずまき、迷い、流れ、ぶつかり、しまいには手を繋いだ相手がいつのまにか別人になっている始末。
複雑に曲線を描く遊歩道をめぐり、地図を眺め、迷い、植え込みの椰子の間を抜け、入り組んだ狭い脇道の奥でようやく見つけた小さな雑貨店に入ると、店の内部には思いがけなく広大な通路があり両側に店が並ぶショッピングモールになっていてまた迷ってしまう。道案内の地図を
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