飛ばされた燕/みぎめ ひだりめ
ぃ と嗚咽が漏れました
胸が抜け落ちるくらい 悲しかったのです
燕にとって 世界は友でありました
しかし どうしてか
今日は燕に牙を剥いたのです
それが悲しくて 悲しくて
燕はこころのままに 泣きました
その声は ちいさいはずなのに
不思議と よく響きました
それを見ていた 美しい木も また
悲しい気持ちになりました
なんてちいさな命が
なんてかわいそうなんだろう
しかし いくら美しい木といっても
枝はあっても 手を持たず
実をならせても 与えられず
風にさざめいても
やさしく お話しをすることはできないのです
そのはがゆさに 木は 燕とともに
静かに泣くのでした
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