憧憬通信 2021春    蒼風薫    /梅昆布茶2
 
考えていなかった

日も暮れて木香薔薇はしばらくライトアップ
されていたが
 やがて消え  夜の中取り残される形と
なったわたしは
、叫んでみた  開けてください! 開けてください!

 開けてください! 開けてください! 開けて!

 未明まで待って諦めてわたしは明らめてそして

無事に身元不明の川流れとなり
川流れとなり

ママ!


偲ばれる墓標


白菊の歌声が
偲ぶあなたの
墓標前にて
一人雨に
濡れながら
西脇の詩集を
繰ってみる

詩のまことが
溢れますように


紅の傘は
忘れられて
かなしく倒れて
朽ちてしまいたいと
言っている

雨ならまるで
永遠を知っているかの
ように
ひたすらに
続いてゆく

まるでわたしの
やまないなみだの
藍のように

銀のように

戻る   Point(10)