ノート(鉄の夜)/木立 悟
 



ひとつの落雷のはじまりと終わりに
すべての線路がはばたいては消える


火のような虹が
幾つも幾つも噴き上がる


ふところの鍵が重い夜
出会いがしらの火花の夜
どこまでも雲が白い夜
灯と地と音の鏡の夜


空が閉じる前に
火矢が届く前に
せめて せめて
独りの流木を燃やし
独りの向かい風を燃やす


融けることのない
塊の夜




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