ノート(鉄の夜)/
木立 悟
ひとつの落雷のはじまりと終わりに
すべての線路がはばたいては消える
火のような虹が
幾つも幾つも噴き上がる
ふところの鍵が重い夜
出会いがしらの火花の夜
どこまでも雲が白い夜
灯と地と音の鏡の夜
空が閉じる前に
火矢が届く前に
せめて せめて
独りの流木を燃やし
独りの向かい風を燃やす
融けることのない
塊の夜
[グループ]
戻る
編
削
Point
(1)