機織虫/櫟 伽耶
絶つ術を知らず
ただ目の前で
自分の手が機を織る様を眺める
糸は途切れそうに細い
それでも自ら切ることは出来なくて
多分絶たれるときは一瞬
ああ いつまでこんなことをしなければならないのか
止めてしまいたい
けれど 手が止まることはない
ならば 私はきっといつまでも紡ぎ続けたいのだ
揺り椅子に座って
ただ静かに
ああ こんな私は貴方にはどう見えるのだろうか
答える者はない
おそらく 始めから答えなど求めていない
私は他の方法を知らない
知ろうとも思わない
ああ
自分という人間に吐き気がする
それでも 私は私という人間として生きたい
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