それは静かにゆっくりと燃え上がり、また、しばらくは燃え尽きることが無い/ホロウ・シカエルボク
 
な情報を少しずつ掴むことが出来た、視覚に囚われ続けていたのだ…俺はさらに呼吸を深くして、全身に空気を循環させた、もっと知ることが出来る、この世界のことを、そして、ここで目を閉じている自分自身のことを、次第にそれは記憶に変わった、ああ、遠い夜が囁いている、それはこれだった、叫びは、感情はすべてここにあった、感情のすべては、感覚のすべては、過去であり今である、今この瞬間の感情は、感覚は過去に歩いてきた道の蓄積の上にある、人間は過去を燃料にして今を生き続ける、だから、見知らぬものも見知ったものも、すべて過去の中にある、何が起こったのか、出来事の中でどういうものが生きていたのか、それは正しかったか、それとも間違っていたのか、心地良かったか、それとも不快だったか?真実も真理も無数に在りそのすべてが正解であり不正解でもあった、連続する瞬間に判断基準など存在しなかったのだ、ゾクゾクと、知的快感とでもいうような妙な感覚が身体をくすぐった、この場所での学びは終わったのだ、俺はそのことがわかった、ひとつ片付いた、という感触が体内に溢れていた、目を開くときが来たのだ。


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