天国は展開の極意 二章〜いまも生きております、はずれの音で〜 /菊西 夕座
 
花からも葉っぱからもはがれおちた「は」の文字は
「はがれて」からもはなれ、「はなれて」からもはずれ
文字と文字にはさまれた位置の「は」にもなれず
ついには最後尾の「君の名は」の「は」に追いやられた

「ついには」の最後尾にいた助詞の「は」ははっと気づき
助詞と最後尾の「は」が「わ」と読まれることに患うと
ついには「わずらい」の「わ」の文字と調和してわれをわすれ
「君の名は」にこたえていわく、「わかりません」。

ただわかるのは灰になるわが身よりも、果てない闇と化す永久(とわ)よりも
おそろしいのは孤独になってしまうことの極みの文字化けユわネーム
そうなれば発狂するしかない「は」の文字はわっと我にかえり

わずらいの「わ」からも別れ、「わかれ」の「わ」とも割れてしまい
それでも取り戻せない「は」の発音を墓からあなたにたくし
いまも叙しております、言の葉の、はずれのおとで、おとなしく・・・

 

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