刻印の脈動/ホロウ・シカエルボク
血をよこせ、と内なる声は確かに言ったけど、それがどういう種類の飢えなのか俺には上手く判断することが出来なかった、贄なのか、それとも、もっと精神的な何かなのか、まごまごしているうちに渇望は激しさを増し、俺は煽られて落ち着いて考えることが出来なかった、ちょっとした段差だと思って滑り降りたら結構な崖だった、例えるならそんな感じだ、昔に比べれば自分のことは少しは理解出来たつもりでいた、それでもやはりこんな風に翻弄されてしまうことがあるのだ、どうしても…ピントが合っていないわけではない、それに関しては俺はすぐに合わせることが出来る、考えるより先に身体が動き出す、求めるものが何なのかは本能が理解している、
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