わたしの場合毒虫ではなく/ただのみきや
ら少々イカれてはい
た わたしが書いたのだから だがこうもひどく絡まり
合っては直視することもできない まるでことばのビー
ズで作った呪いの人形がそれぞれトラウマシーンをバッ
クにサンバを踊っているような 追い出した悪霊が七つ
どころかレギオンになって「パパ遊んでぇ 抱っこして
ぇ」とか言いながら鳥肌と共に皮膚の裏側を這い上って
くる かと思えば「どうしてこんな姿に生んだ こんな
気持ちの悪い詩体に………」等々の恨めしやも聞こえ─
──今やこの車の中のわたし以外の空間は隙間なく高密
度の恐怖が充満しその圧迫感で息もできないほど わた
しの心と頭では行き場のない焦りと混乱がひた
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