わたしの場合毒虫ではなく/ただのみきや
とだ!
どれも見覚えはある だが ひどい変わりようじゃない
か 今まで書いた詩のひとつひとつ 一行一行 その文
字の連なりがひどい絡まり方をした釣りの仕掛けみたい
に意味も比喩もこんがらかってまるで四肢でも生やした
みたいに次々白紙の底から糸をよじ登ってくるのが透け
て見える 予感 その予感がすでに薄い影となって黒点
の周りに広がっていた ああ わたし由来の詩体が目を
覆いたくなるような姿態をさらしもはや死体と化した肢
体を淫らに蠢かせ白紙のこちら側に這い出ようとしてい
るのだ それだけじゃない 糸を 手を腕を伝って や
つらの慕う生まれ故郷 やつらを孕んだ胎 わたしの頭
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