鏡像と虚栄(仮)1/aristotles200
二つだ。
短い沈黙のあと、中年女性はいう、
お前を買ってやる、言い値を言いなさい。
金は要らない。
ほう、と目が光る、なら何が欲しい。
チャンスが欲しい、このゴミ溜めから抜け出したいんだ。
歪んだ笑みを浮かべる中年女性、
面白い、何でもするのか、
ああ、何だったする、そっちへ俺を連れて行ってくれれば。
中年女性は、再びガードにサインをする。
頭に衝撃を受けて、意識を失った。
目覚めたときには、何処か郊外の、豪奢な別荘の一室にいると知る。
上から下まで、黒色のフォーマルスーツを着こなした白髪、左目に眼帯をした長身の老執
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