原子論/fujisaki
中の寂しさ。学校の教えによればそれはきれいに円周率で求められるって。重たい空気に床がひたる。天井がひたる。父がやつれる? そんなわけがない。机に放られた携帯。新品だけどなぜかうす汚れて、すべてを引き寄せようとする重力を感じる。父が小さくいってらっしゃいと言って僕は外に出る。
全ては相対速度ですぎていく。高速道路を進むバスから見ると、窓の外の世界がジオラマのように見える。見上げればガラスと雲を通すと太陽がはっきり丸く見えることがわかる。おのおのが食べた昨日の夕食がバスの中に汗腺から吹き出してそれから変な臭いのするエアコンの空気がそれぞれの皮膚表面を冷やす。バスには重心がない。こんなにバラバラな
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