おまん瞑目(おまんとくれは、その壱)/佐々宝砂
 
まんの胸に去来するのは、
 昨日もけふも、
 たつた一つの呪ひである。

 鬼となれ、我があるぢよ。
 鬼となりて戻れ。

 しんしんと冷える信濃の夜、
 おまんは何時までも呟き続けてゐる。


信濃路にその名も高き戸隠の、
白峰の雪は幾重に積り、
今はいづこに紅葉やある。




初出 蘭の会月例詩集2003・2月 全4作予定
その壱「おまん瞑目」http://po-m.com/forum/i_doc.php?did=39002
その弐「春紅葉」http://po-m.com/forum/i_doc.php?did=39020
その参「おまん瞠目」http://po-m.com/forum/i_doc.php?did=39022

参考文献:鬼無里村史・戸隠伝説他
この連作を書くにあたって「鬼無里村史」の写しを提供して下さった渦巻二三五さんに感謝します。

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