詩を書こうと思ったんだ/若森
半分腐ってる空の下で
うなだれて咲いている花が
自我を持ち、人々に脅威をもたらし始めたんだ
だから詩を書こうと思ったんだ
引きこもりの僕の部屋にいる
コミニケーション可能なロボットと
社会情勢について話していたら
ロボットが突然僕を笑ったから
僕はロボットをぶっ壊してしまったんだ
だから詩を書こうと思ったんだ
商店街でうろつく通り魔は
近所の子供にペロペロキャンディを配っていたんだけど
刑務所に入れられてから
ペロペロキャンディの存在意義を忘れてしまったんだ
だから詩を書こうと思ったんだ
夕暮れと帰り道
変な形のトロい虫を踏み潰しそうになったから
立ち止まって、その虫が道路を渡り切るのを
ずっとずっとずっと眺めていたんだ
空はきっと腐ってなんかいなかったんだ
だから詩を書こうと思ったんだ
戻る 編 削 Point(3)