死にたい魚/魚骨堂
 

月影とタブの樹が戯れる
静謐な真夜中のパーティー
白いガーゼを払いのけて
そっと そっと
足音を忍ばせておいで
そう 裸足でそっとだよ
誰にも内緒のパーティーさ

「死にたい魚」
呟いた君に乾杯
どんなジョークよりも笑えるね
魚なんてみんな死んでしまったのさ
知らないのは君だけ

住宅街の奥に佇む
タブの木の下 思い出の砦
干からびた骨の上に
今生まれたばかりの魚が積み上げられる

けれど君の魚は死なない
死ねない、というのが正しいのか?
翳りかけの月が照らした
死んだ魚たちのパーティー

君だけが
死にたい魚

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