宙の声、暮れの頂き(ふたつファンタジー)/ひだかたけし
 
消える今日の残光を
暮れの頂きから
仰ぎ見れば
鋼の光塊
脳髄突き抜け
残余の空隙に
世界想念
その手を掛け
自らを思考し始める

空隙の意識の
私の心魂
舞台とし
既にし
手を差し入れ
鋼の光塊の
伸びる伸びる
世界想念の光帯の
前進する時を遡行し続け

既にし過ぎる夜陰の影に
佇む自らの意識のありあり
内なる世界の想い包含し

)アナタは誰?
)ワタシはオマエ
)オマエのワタシ

思い出を立ち上げる以前
肉体を立ち上げる想念ノ力、

根源に潜み在る
〈私〉と云ふ記憶 、

今の私の自意識の向こう剥き
世界想念の更に遡行し続け

   明けの来光 、暮れの頂き

霊雨降り注ぐ宙へと入り込み生かされつ








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