歩く/高林 光
 
てみたのだが、
そういえば昔
娘が高校生くらいの時に書いた詩があったなと思いだして
スマホを手繰ってみた

娘は今年高校一年生だから、そろそろ彼とこういうカフェでお茶を飲むなんてことがあってもいい。そう思ったのだが、考えながらふと、そういえば世間一般でいう娘の父親にありがちな嫉妬のような感情がまったく湧いてこないのに気づいて、何故だろう、とか考えたりもした。

なんだかわかったようなことを書いていやがる
もう9年にもなるのか、あれから
いろんなことがあった、俺も
おそらく、あいつも
もう、わからないことのほうが多い、きっと
わからないことのほうが多いことをあれこれ考えて
何かわかったようなことを言うのは
ひどく馬鹿げているんじゃなかろうか

冬のさなかに春の微風を感じるのは
思い出であるとともにかすかな予感で※

そんな日に生まれたひとりの女が、
未知を歩く
                      ※ 谷川俊太郎 『未知』

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