あの夜の何処かで/ホロウ・シカエルボク
景色を眺めていた、ただただ俺では無いものたちが生き続けていて、動き続けていた、あの夜はきっと俺の中に棲みついて、未だに出て行こうとしない、こんな夜には昨日のことのように浮かび上がって、現在を曖昧にさせる、時間の経過をものともしない感覚というものが必ずある、もしかしたら俺を生かし続けているのは、そしていずれ死へと追いやるのは、そういった記憶の蓄積なのかもしれない、その時俺の魂はあの夜の中で浮遊するのだろうか、その時俺はその夜の風を感じることが出来るだろうか、あの夜の中にはなにも無かった、でも何故だろう、俺はそんな夜のことをもしかしたら愛おしいと感じているのかもしれないなんて思うことがあるんだ。
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