MELBA TOAST & TURTLE SOUP。 カリカリ・トーストと海亀のスープの物語。/田中宏輔
よ、と言った。詩人はさらに眉根を寄せて首を傾げた。
ん?
(タニス・リー『死の王』巻の一・第三部・六、室住信子訳)
電話の声は
(ロラン・バルト『恋愛のディスクール・断章』フェイディング、三好郁朗訳)
聞き覚えのある声だった。
(ヘッセ『デーミアン』第七章、吉田正巳訳)
あとで調べてみると、朔太郎の「亀」という詩には、「この光る、/寂しき自然のいたみにたへ、/ひとの心霊にまさぐりしづむ、/亀は蒼天のふかみにしづむ。」とあるだけで、逆さまになってずぶずぶと水底に沈んでいく亀のヴィジョンは、ぼくが勝手に拵えたイマー
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