MELBA TOAST & TURTLE SOUP。 カリカリ・トーストと海亀のスープの物語。/田中宏輔
 
は思いもよらない、ユニークな見方だった。その光景は、カゼをひいた亀が、ピュルピュルと鼻を鳴らす姿とともに、ほんとに可愛らしかった。電話を切って、図書館に行くと、教育社の古今和歌歳時記の背表紙が目に入った。「実は呼吸器官である」とあった。小学館の日本語大辞典・第三巻を繙くと、「これは鳴くのではなく、水をふくんで呼吸する音であるという」。で、また、何気なく歳時記を見ていると、ふと、「蚯蚓鳴く」という季語に目がとまった。


どうしてこんなにたくさん?
        (ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』第I部、水野忠夫訳)
ほら、さわってごらん。
        (ヒメネス『プラテーロとぼく』9・いちじく、長南 実訳)
何時かはみんな吹きとばされてしまふのだ。
                (ポール・フォール『見かけ』堀口大學訳)

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