白いシーツの波跡/まーつん
 

小さな夢の数々が
尾びれを振りながら
船の周りを泳ぎ回っていた

一尾を釣り上げ、ナイフで裁くと
七色の光が、臓腑の代わりにこぼれ出た

腹が減ったと竿を振り続け
山と積まれた夢の鱗が
甲板に眩く煌めいた

胡坐を掻いて
互いの夢に、
舌鼓を打つ度に
なぜか心が痺れていく

いつしか、魚を食べ尽くし
膨れた腹をさすりながら、仰向けに伸びて
落ち着かない眠りに落ちた

やがて、明けない夜に目覚めると

海は干上がり
砂丘の頂に傾く船は
星と月とに、見張られたまま





私たちは
お互いを見て
悲鳴を上げた

皺の拠った皮
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