空に還る雨/
まーつん
中には
身に覚えのある
響きも交じっていた
落下していく私は
感謝の思いと共に
それを見送っていた
重力の鎖で手繰り寄せた私の身体を
数秒後に粉々にするであろう
硬い地表のことなど
すっかり忘れて
風が心地よく私を乾かし
パジャマが凧の様にはためく
生まれたての赤ん坊みたいに
無垢になった私を、抱きとめようとする死が
ゆっくりと伸ばしてくる腕の気配を
ぼんやりと感じていた
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