成田悠輔は村上春樹である/おまる
 
わからなかったのである。

手っ取り早く”尖端”を感じたいむきには、それなりにヒットするかもしれないが、しかし「世帯年収400万の共働き夫婦で子育て頑張ってる」「イオンのTSUTAYAでたまたまこの新書を手にした」みたいな読者には、この内容は刺さらない気がする。「22世紀には国家や資本が溶ける」云々といった大胆な予測は、目の前の現実を生きている人々にとっては、無駄話でしかないのではないか?けっして少なくない人々が、成田が冗談を言っているのか、本気なのかわからないと不平を抱くと思う

成田の思考を支えているインスピレーションの源泉は、ある程度は特定できる。まずは柄谷行人の「トランスクリティー
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