『機動戦士ガンダムAGE』における許しと老いを一つの祈りとして読み解く。/大町綾音
 
 2011年に放映された『機動戦士ガンダムAGE』は、いま再び振り返るに値する作品であろう。
 放映当時の評価は必ずしも高くはなかったが、その背後には、この作品が持っていた主題の深さ、そして“時代よりも先に進んでしまった”構造的な誠実さと、そのことによる反視聴者的要素があったように思われる。
 三世代にわたって描かれるこの物語は、表層的には親子三代の英雄譚のように見えるが、そこに潜んでいるのは「許し」「老い」「人間の変化」という、きわめて現代的かつ人間的なテーマである。

 中心人物であるフリット・アスノは、少年時代に最愛の人を失い、その喪失が復讐と正義を混交させた強固な信念となって、彼の
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