明滅/385
 
かつて付き合っていた男の
すこしななめの背中
だらしなく歩く姿
流れる煙セブンスター

よみがえる感情の
種類の少なさ
想い出と言われる
類(たぐい)の記憶

日の沈む5分前から
90分後が空の色彩変化は
もっとも激しいのだ

漆黒の闇などない
この街の片隅で
橋梁のサインが
規則正しく明滅している

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