ざんこく/ざんねん/大町綾音
「今日はずっと遅く……」
きょうはずっとおそく
あさの10時をすぎてから
父が目をさました
父がちっとも起きてこないと
ふあんで死にそうになる
きょうはずっとおそく
正午の12時をすぎてから
私は目をさました
父は急におこりだして
くちのはしに唾を飛ばした
ごめんなさい、父上
明日はもっとずっとおそく
ごご8時までねむっていようか
そして わすれて わすれて
わすれて 時計の短針がとまるまで
「あくにんぶるーす」
ちきゅうのさいごには
はなたばをあげる
と、
ぎぜんしゃがいった
あくにんぶるーす
「千の針を」
千の針を
千の夜に飲ませよう
千の棘を
千の昼に飲ませよう
千の鞭は
薔薇のブーケ
そこまで、誰にも
分からないから
バレずにいいねって、
先生のお気に入りに言おう
千の針を
千の夕べに飲ませること
千の棘を
千の朝に飲ませること
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