未分化横丁、ついてこないで、刑事アメンボ/菊西 夕座
査を開始する経路へと至る
人はこれを窮屈な「読路」と笑うが、アメンボはドクロの道こそ未分化横丁に通じる線と知り
悪が前提となる世界において、完璧な尻の栓からいかに尻尾をつかむかに意義を見出し
まだ未分化のうちから早くも「せん」を手なずけ、せんが「先」となって先鋭化する未来に
先から知っていたと言わんばかりに過去をひきだすことで、栓を線状に伸ばして尻尾とし
譜たしかな音階たろうと、おとなしい先端へとまるめこむ悪を過去でもって照射する転倒
泡の家はいつしか「や」となり、「谷」と読まれて谷底におちていく逆行を未分化に見出し
店もまた「てん」となり、「天」と読まれて盛り上がっていく最果てに「点」と化して遠ざかる
こうしてふたたび波立つ道が未分化横丁に返ってくると、橋もまた「端」のほうへずれていき
横丁の横っちょの端のほうで生まれた遠い始点に、やがて灯がともって蟻のような影となり
壁にはりつくようにして道を登ってきた影が、しだいに大きくなってアメンボの姿をあらわす時
どうかこれ以上は付きまとわないでくれと、刑事コロンボの執拗な追及に根がえる求愛の泉
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