匣庭/長月 猫
 
いつの頃だったか

彼女は

「この世界は匣庭のようだ」

と、いった

あの蒼く澄んだ空も

あの色とりどりに染まった山の紅葉も

あの空に輝く月や星々も

すべてが見えない巨人の手によって創られた匣庭のようだと

僕は笑った

そうかもしれないと思った

しかし……

もしそうだとするならば

この匣庭はいつまであるのだろうか

世界のバランスは崩れつつある

そんな中

僕たちは何処へ行くのだろう

そして

なにを見つけるのだろうか
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