散歩うた/足立らどみ
。行頭に定型的な区切りがあるものの、物語的リズムで一気に読める。一方『コカコーラ・レッスン』は13の段落に分かれた長大な散文詩で、各段落が章節的に展開する大作である 。そのため読み手に与える時間的・空間的スケールも異なる。
? 時代背景・雰囲気: 両詩が生まれた時代や詩情にも違いが見られる。『夕焼け』は昭和30年代の戦後日本の都市風景と人間関係を背景に、優しさと切なさが共存するヒューマニズム的詩情を持つ 。一方『コカコーラ・レッスン』は高度成長期以降の成熟した詩情で書かれ、言葉と実在、個の意識というテーマに内省的・哲学的に迫る傾向が強い。表面的にはどちらも日常の一場面だが、『夕焼け』は社会性や他者への共感を、『コカコーラ・レッスン』は自己存在の洞察をより前面に押し出している点で異なると言える。
参考文献: 谷川俊太郎『コカコーラ・レッスン』 、吉野弘『夕焼け』 、大岡信「風の説ほか〜大岡信小論」 など。各詩の内容はそれぞれの出典より抜粋・要約。
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