此処であり、何処かでもある/ホロウ・シカエルボク
 
急に夏に向けてギアを入れた季節に身体はまだ順応していなかった、でもそういう誤差ももう数日の辛抱だろう、きちんとメンテナンスをしていれば、人間の身体は嘆くほど急激に衰えることはない、何もしないやつほど年齢や故障を言い訳にする、俺は腕のいい整備士というわけではないけれど、少しずつよりよい状態を手に入れ始めている、甲状腺を壊していた二十代に比べれば今の方がずっと快調ってもんだ、午後になってようやくワードと向かい合う程度には目が覚めた、昔に比べると随分落ち着いて書くようになった、ほんの十年くらい前までは、一気に書ききらなければ価値は無いと思っていた、でもいまは、大事にするべきことはそんなことではないという
[次のページ]
戻る   Point(3)