残り香/
秋葉竹
ざめた心の時代
灼ける想いと
強い優しさと
だれにも掴まらない
過敏なほどの敏捷を得意げに披露していた
僕は
けっきょくは
あのひとのオモワレビトにはなれなかった
ねぇ
それをもって青の時代の終焉と
だれもがそう呼んでもよいのなら
突然消えてしまったあのひとの
微笑みだけでもいい
許してくれなくてもよいけれども
綺麗な声で
僕の昔のあざなを呼んでよ?
夜だけが
新しく
夜なのに
暖かかった
あんな時代の残り香を添えて
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